木枕テスト
木枕テスト
木枕テスト
(平成25年10月20日②)
当院では頚対の状態を評価するために木枕テストと行なっている。テストに使う木枕は縦・横・長さ7.5×7.5×21.5センチメートルの半円形の蒲鉾状の木枕、楠木で出来ている。これは真幸クリニックの故上原真幸先生によって考案されたもので、生前に先生の許可を受けて使わせていただいている。
真幸先生は木枕を鎖骨調整により頸椎を矯正したあとのメンテナンスに、寝る前に仰臥位で頚椎にあて、15分間頭を左右に捻りローリングさせて使用しておられた。私がそれを診療に使ってみたら、それ以外の使い方が有る事に気がついた。ちなみに仰臥位で首を木枕にあて左右にローリングさせる行為を木枕テストと呼んでいる。
まず首が悪いと仰外で首に枕を当てただけで痛くなる。その痛みの程度は首の悪さの程度と平行しているように見えた。この状態で手足の指に針治療を行なうと、枕にあてた首の痛みが治療を加えることに応じて軽減していく事が観察された。更に背中から首腰にかけて針治療を行なった後に、枕を首にあててローリングすると更に痛みは軽減される。首の調整を行なったあとに同様のことを行なうと痛みがすっかり取れて気持ちよくなるという変化が起こる。すなわち木枕テストは首の障害の程度や治療効果の判定にも使えることが判ったのである。すると針治療や鎖骨調整などの施術は効果が即効性であるから、それを木枕テストによって確認することにより患者に納得してもらう事ができ、安心感を引き出す事ができるのである。
典型的な場合は、つまり肩こり、首こり、頭痛、頭重、目の疲れなどの症状があり、頚椎レントゲン写真で頚対の捩れや、直線化を確認できる場合に、木枕テストの痛みの程度が強いと云う事になる。しかし症状が強いのにレントゲン上の捻じれなどの変化が余り強くないが、木枕による痛みは強い場合もあるし、レントゲンで歪みがひどいのに木枕であまり痛みを感じない場合も有る事が例外としてみられる。そんな場合でも針治療や鎖骨調整によって首の状態が改善し、症状も軽くなると云う事が普通である。あまり症状が強い場合は枕に首をのせるだけでも痛がる。
また長期にこの枕で首の手入れを続けている人は、悩まされていた肩凝りや頭痛がすっかり良くなったと報告されることもしばしばである。
私の経験ではあらゆるストレスや過労は首の異常として蓄積され自律神経の多様症状をおこしてくると考えているが、頚椎の機能的な異常をとらえる方法がないため、対処法もないというのが医学の現状である。そこに木枕テストの意義があると考える。
患者が知人に枕をプレゼントしたが痛くて使えないといわれることがある。一度は診察を受け枕の使い方の説明を受けるように指導している。