ヒポクラテスの言葉

仲原漢方クリニック
仲原靖夫  
 私にハートライフ病院の院長就任の話があったころ、病院の理念について真幸先生に相談したことがあった。
 私が患者中心の医療ということはどうだろうかと話したところ、そんなことはやめておけと一蹴された。その理由が面白かった。今、患者中心にするということは、前は何が中心だったのかと聞かれたのである。以前は患者中心でなかったので、今になって患者中心にするということは自分らの恥をさらすことであると。つまり以前は患者以外に中心があったということで、病院中心とか医者中心であったことを示すようなものだよと。
 それよりヒポクラテスの言葉を何時かテレビで紹介されたことがあったからそれにしたらどうかと言われ、思い出すように四つの言葉を紹介された。
1)健康を保つことは自然と共に生きることである
2)心に起こったことは必ず身体に影響を及ぼす。
3)人を愛することそれが医術である。
4)万物は共鳴する。
1)から3)まではすぐ腑に落ちる。特に1)2)は漢方の基本哲学でもある。4)についてはまだ腑に落ちていない。万物は共鳴するということがまだ実感としてわかっていないという意味である。鶏や牛にいい音楽を聞かせると卵をたくさん産んだり、乳の出が良かったり、人間は気持ちが落ち着いたりすることなのか、と思ったりするがじっくり考え続けてみたい。

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